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1980年から2000年の多くの論文で腰痛の原因と思われていた部位(ヘルニアの大きさやヘルニアの有無など)のレントゲン・所見の不一致が報告されていました
例えば坐骨神経の有無とヘルニアの大きさに関連性がないことやレントゲン上の初見で腰痛の発生を予測できないことが報告されました
腰痛の原因はいろいろでしょうが腰痛はメンタルかと疑われた時代でもあります
最近の研究によって脳の特定の部位の萎縮や脳内の生化学的変化が生じていることも分かってきました
変形性膝関節症と腰痛が同じ脳科(化)学的変化をしていることも報告されています
研究の流れを以下に紹介します
ノルウェーのRCT(ランダム化比較試験)では坐骨神経痛に対する椎間板手術は
1年目では保存療法(手術をしない群)より優位性が持続しました(手術した方が良い)
しかし4年目では有意差はなく
手術してもしなくても坐骨神経痛の程度に手術してもしなくても効果に差がないことを報告されています (Spine, 1983)
Clin Orthop Relat Res. 1992 に掲載された論文では
A群)港湾労働希望者208名、B群)急性腰痛の港湾労働者207名、C群)慢性(6ヶ月以上)腰痛患者200名のX線写真を比較した結果、3つの群間の
異常検出率に差がなくX線写真では将来の腰痛発症を予測できませんでした
雇用時のスクリーンテスト(撮影したX線撮影によって腰痛になりやすいか評価して採用の適否を選考する方法)としてX線撮影は不適切で経済性に問題があることが報告されています
N Engl J Med.(2013) に掲載された論文では
283名の外科手術と保存的治療を行っている坐骨神経痛と腰椎椎間板ヘルニア患者を
MRI検査による1年間の無作為化試験を行った
その結果、84%の患者が良好な結果を得たが
良好な結果の患者の35%はヘルニアが残存し
不良な結果の患者の33%にヘルニアが残存し有意差がなかった
(1年間のフォローの結果、MRI検査によるヘルニアの残存の有無が、
1年間の坐骨神経痛の良好な改善に関係しない可能性が示唆された)。
MRI上では、坐骨神経痛はヘルニアの大きくても痛みがない人がいるし
ヘルニアがなくても痛みがある人がいることがわかりました
腰痛はメンタル????
The Journal of Neuroscience, 2011に掲載された論文では
慢性腰痛18名(脊椎外科手術または脊髄神経の周囲に薬剤注入後と6ヶ月後)と健常者16名(10名は10ヶ月後にも撮影)を経時的にMRI(皮質厚の比較)とfMRI(認知的タスク分析)で撮影した結果
左DLPFC(背外側前頭前皮質)が健常者群より薄かった(脳の機能が悪くなっていることが推測されます)
痛みと左DLPFCの関係が推測されました)
働きが弱くなると痛みの回路を抑制ことができなくなります
脳の痛みの回路が消えず痛みを感じ続けます(過敏になってしまいます)
NeuroImage: Clinical 2017に掲載された論文では
生体内の分子の種類、成分などを調べる手法であるプロトン核磁気共鳴スペクトロスコピーを用いて135名の慢性腰痛患者と137名の健常者の痛みの生化学的変化の相違を検証した結果、
慢性腰痛患者で は
1) 背外側前頭前野 (DLPFC)、 体性感覚皮質(SSC),一次運動野、前島、帯状回皮質の神経細胞マーカーNAA (N-アセチルアスパラギン酸)の減弱
2) 帯状回皮質内グルタミン酸(神経伝達物質)の減弱
3) 視床と帯状回皮質内のミオイノシトール(神経伝達を助ける脳内化学物質)の減弱
4) 感覚皮質のコリン(神経伝達物質)の減弱
5) DLPFCのぶどう糖が減弱
慢性腰痛も変形性膝関節症と同じく広範囲に脳のネットワークに変容(配線の変化)が生じていることが推測されます
•Neuroscience Letters 2014に掲載された論文では
•選択的に痛みを誘発できる表皮内電気刺激法で痛みを誘発して12名の変形性膝関節症と11名の健常者のfMRI(脳の血流量で脳の機能を推測する検査です)を用いて脳の痛みの反応の違いを検証した結果、
両側の DLPFCと痛みの関連性があることがわかりました
また、皮質間経路と皮質-皮質下経路の変化(配線の変化)が生じていることが報告されています
形態、機能ごとに脳内に並列的チャンネルを作っています(parallel channeling)
脳内のネットワークにより個別的、並列的な情報処理(parallel processing)をします
例)
小脳-大脳基底核-視床回路
従来は小脳単独で小脳のみで運動範囲やスピードおよび運動方向を制御できると考えられていました。
しかし、小脳だけで運動範囲やスピードおよび運動方向を制御することはできないことが分かってきました。
小脳は運動の制御の重要な役割を果たし,
上の図のように大脳皮質の多くの領域と関与しています。
皮質下の主要な核である大脳基底核と小脳は解剖学的に相互接続しており,小脳から大脳基底核へ視床を中継し大脳基底核から脳幹を中継して小脳へ出力されて運動範囲やスピードおよび運動方向を制御しています。
(Turner : 2003, Georgopoulos : 1995)
脳ネットワーク(脳運動プログラム)の変化をコンディショニングして痛みがなく動ける身体を目指すのが
脳科学コンディショニングです
脳科学コンディショニングにより脳からの痛みによる抑制を解除して痛みの改善ケアを行います
首痛・腰痛・関節痛(肩関節、股関節、膝関節、足関節)などの慢性の連鎖痛による筋肉のハリのリラクゼーションと運動機能のアップが可能です!